急性脊髄炎をやった方がリハビリで通っている。足の温感がなくステロイドで治療して経過が良いので、退院してしまった。しかし病院のリハビリが少し足らないので通っている。神経損傷やウィルス感染による脊髄炎は簡単には感覚は戻らない。年の単位かかる。だから1年前、3年前と比べてどうかということが問診される。しかし患者心理としては日々良くならない症状に短気を起こし、何とかならないのかという気持ちになる。担当の先生も、「去年と比べて悪くなった症状はないか?」と聞くから、患者も答えにくい。良くならないことを言いたいのに、何が悪化したと聞かれても困る。長年リハビリをやっていると、何時までも細かい症状を訴えている方の方が治りが悪いと感じる。治療を継続していく中で、飼っていたネコが具合が悪いとか、子供が熱を出したとか、親の介護がどうしたなどと自分の症状以外のことを言っている方の方がいいように思う。そんな話をしながらあるとき、「そういえば3ヶ月前の足のシビレどうしました?」「あ、なくなっている何時治ったのだろ?」こんな会話がよく出る。当時は理由がわからずそんなものかと思っていたが、治らない症状ばかりに眼がいくと交感神経優位になり、血行不良を起こす。緊張し続けているのと同じである。しかしリラックスしたときにお腹が空き、何となく身体も温かくなる。血行が良くなった証拠である。病気は殆どが血流で治す。患部に血が行かなくては治らない。取れない症状ばかり言っているのは、治りたくないと言っているのと同じである。そんな事に気がついてからのらりくらり、適当に、いい加減に治療している。そして時々、「そう言えばあれは最近どうなりましたか?」と聞く。そんな事が治癒に時間がかかる病気の治療のコツである。