以前日舞の舞台で自分の娘が何かを踊っていてその黒子で父親が出ていた。見ている方は何となくハラハラドキドキで、どんな気持ちで娘の舞台を見ているのだろうと娘より黒子に目がいってしまう。その父親の身体を診ると、想像を絶するぐらい疲れている。少し気の毒である。本当に心身共に疲労困憊である。ある意味舞台というのは魔物が住んでいるらしいので、色々な予想すらしないことが起こるらしい。大変な世界であることは間違いないが、父親の身体を診て芸事の継承の大変さを感じてしまう。天皇家に始まり、徳川家や地方大名家、どれだけ多くの方がこの継承問題に苦労されたか想像すら出来ない。ある社長と継承問題を話していたら、「仕事の半分は継承問題。」と言っていた。そんなにエネルギーを使う問題だということを教えて戴いた。そういうことを感じ始めてから、歌舞伎や日舞、お能まで継承問題が気になる。嫁に子供を産んでもらわねばないないことや、跡継ぎ問題など経験した方でなければわからない。父親の身体を診ながらそんな事を感じてしまった。今後舞台を見るのもすこし襟を正して見たいと思う。