「この痛みはすぐには治りません。」と言った方がいい場合

仕事柄身内にご不幸があった後、身体を拝見する。中に想像を絶するぐらい疲労困憊しているケースがある。本当に大変なことだと思う。そんな時、「大丈夫です。腰は治ります。」といつもの調子で言うとうまくいかないことがある。こういう場合、身体が反応しないので治療が難しいことがある。では何と言うかというと、「この痛みはすぐには治りません。」と言うと安心した顔をする。本人もこんな大変な状況なのだから、すぐに治るわけがないと思っている。そんな時に、「大丈夫です。」は逆効果である。患者さんが治りっこないと思っているのだから、共鳴共感して、「この痛みはすぐには治りません。」と言った方が救いになる。いかに人は共鳴共感で生きているかがわかる。以前聞いた話だが、父親をなくした方が医者に行って、「胃が痛い。」と言ったという。そうしたら医者は薬を出さず、「○○さん、今晩一緒に飲みに行こう。」と言ったという。患者からすれば胃が痛いと言っているのに薬も出さず飲みに行こうとは何事かとなるが、結果は胃が治ったという。本当に人には共鳴と共感が大事である。

 

image_print印刷する