私ぐらいの年齢の方で腰が治らない方が時々いる。レントゲン、CT。MRIと何をやっても異常が出ない。少し痩せるために腹筋強化をして胃腸を整えてもダメ。なすすべがなくBi-Digital O-Ring Testを検索して原因を調べてもらうために来る。しかしいくら調べても原因らしきものが我々も見つけられない。こういう場合にこの仕事は多いに役に立つ。まず全身を触るので、異常ではなくても部分的な筋力低下は見つける。男性に多いのが太腿の筋力低下である。昔はGバンを履くと太腿がきつくてお腹がぶかぶかだったのが、中年になりお腹で合わせると太腿がぶかぶかになる。同じGパンを履き続けていれば、太腿が細くなったことに気がつくのだがウエストのサイズを維持している方は殆どいない。風呂上がりに全身を写せば太腿に目が行くのだがそれもしない。太腿は悪くなっても自覚症状が出ないことは以前に書いた。普通は太腿が弱くなると膝に来るが、膝が強いと腰痛の原因になる。答えは太腿の筋力低下の場合、何を調べても原因を探し出せない。私自身探し出せなくて、ある時その患者さんが登山だったか自転車だったか忘れたが、やり出した途端に腰が痛くないという。身体を診たら、太腿が少しついただけで後は全く変わっていない。こんな事で腰痛が起こるということを学んだ。この仕事をやっていると延べですごい人数をこなしているので、年齢体型別に大体平均はこのくらいという基準を持っている。その基準から外れれば原因かもしれないと疑える。この筋力低下だが久しぶりな来た方は何となく私の指が、「この方はこんな感じだった。」というのを覚えていて、久しぶりに触ったときに変わっているとすぐに気がつく。しかし常連さんで数ヶ月かけて筋力低下の場合は見つけにくい。そうなると問診で痛みと生活環境の関係やカルテの見直しなどしないとわからない。特に女性で首の筋力低下の方は時々診るが、本人は首が細くなって格好が良いぐらいにしか思っていない。我々から見ると頭という約5kgの重さのものを支える筋力が低下しては、肩こりや首の痛みが出て当然だと思ってしまう。こういう場合はキネシオテーピングなどで弱い筋力を補強してあげるだけで劇的に良くなる。見ていて漫画である。この筋力低下、常に頭に置いておかないととんでもない誤診をする。
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