減量を目指している方が胃が悪く、百草丸を勧めた。幸いに薬が効いて私にしてみればようやくこれから本格的な減量の治療がスタートできると思っていたら、「お陰様で胃の調子が良く、これなら食べても大丈夫。」と言われて、すこし頭を抱えてしまった。こちらはまず胃の不調を整え、ちゃんと消化できる態勢を整えてから減量をスタートしたいと思っていたのに、患者さんは今まで胃の具合が悪かったが、薬を教えてもらって胃が治り、これなら食べても大丈夫でご飯が美味しいという。何となくボタンの掛け違いではないが、何処が話がおかしい。私は胃に余裕を持たせたいのに、患者さんはご飯が食べられることに目を向けている。こういうすれ違いは時々起こる。以前、ぎっくり腰の方が、「こんなに腰の筋肉が炎症を起こして、細胞に栄養が必要だから食べる。」と言われて、だまされそうになった。正解は、「胃腸に負担をかけると腹筋が働かないからその分より腰に負担がかかる、だから絶食しよう。」である。我々は臓器に負担をかけないことを考え、患者さんは美味しく食べることを考えている。当分この掛け違い続きそうである。
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