常連さんがスキーで足を痛めてから指の感覚がおかしいという。全部の指ではなく右第4・5趾である。いわゆる感覚麻痺でどういう仕組みでこういう事が起こり、どうやって治すのかと聞かれた。まずは徹底的に原因を調べるなら病院でCT、MRIで細かく輪切りにして戴き、腰から症状のある足まで調べる。殆どのケース何処で圧迫が強いということはなかなか分からないから、取り敢えずレントゲン上は大丈夫という話になる。医者でやるとすれば注射か投薬程度である。それで良くならなければ我々のようにリハビリ、物療、理学療法に伝票が回ってきて、「CT、MRI:n-p(no problem何ともないという意味)、患者主訴、感覚麻痺、何とかして。」と書いてある。我々がやるとなると下記の通りである。
こんな所である。実際問題、何処で神経の圧迫や損傷が起こっているかはわかりにくい。まずは腰から患部に至るまで治療してみて問題点が見つかれば良いが、わからない場合は患部に血液を集めるしかない。温めたり、電気や傷、火傷などで血液に来てもらう。それでもだめなら患部の点状刺絡がある。あとは足のバランスを取るために中敷きはあった方がいい。結局明確に原因がわからなくても、患部に血液を集めれば何とかなるだろうという考え方である。自分で説明しながら我々のやっていることはかなり大雑把な治療だなぁと気がついた。機械のようにここを治せば何処がどうなり、結果はこうなるというように割り切れるものではない。かなりアバウトである。患者にしてみれば明確な原因を知りたいだろうが、殆ど判らずにやっているのが現状である。しかし昔からこのやり方である。ある薬を与えたら楽だというので、もっと飲めと指示したという話である。何故効くのかわからない。昔、麻酔科の偉い先生に、「手術の時の麻酔ですが、どういうメカニズムで脳に効くのですか?」と聞いたら、「わからないんですよ。色々やって何となくこれが良いので使っているだけ。麻酔学はそんなものですよ。」と教えて戴いた。人の身体は小宇宙なので、当分こんな治療が続くのであろう。期待に応えられず、申し訳ないが現状である。