小指の痛みと餃子の話

常連さんが小指を折った。リハビリもままにならず、痛みがあるという。病院でなんて言っているか聞くと、「先生、子指が痛いんです。」と言っても「そうですか。」で終わって何もしてくれないという。患者からすれば治りたいので、「○○をすればいい。」とか、「これは治療法がない。」とか、何か言われれば納得もするが、ただ、「そうですか。」では納得できない。どうも若い先生らしく患者も突っ込まないという。それは忖度なのか相手を思ってのことなのかわからないが、黙って質問もしない患者は多い。これを中華屋さんで置き換えるとこうなる。「餃子をお願いします。」と言って、「そうですか。」と言われて出てこなければ何と言うだろうか。「まだですか?」とは聞かないだろうか。お店の人が売り切れとか、具がないとか言えば、「じゃ、又今度お願いします。」となるだろうが、言ったことにいして返事がなく、そのままにしておくのはおかしい。中華やさんなら突っ込むのに、病院では突っ込まない心理が人にはある。我々が修業時代はもっとぶっきらぼうに、「先生、全然治らない。何でもいいから治して。」と治るまで言われた。最近の患者さんはおとなしいのかも知れない。今から思うとそのおかげで、治療の引き出しの数を増やせた。何割かは患者も先生を育てる責任はあると思う。

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