昔は肝機能をGOT・GPTと言っていた。今は少し変わって「AST(GOT)」と「ALT(GPT)」と言うようになった。今日来た患者がGOTが49と正常値を超えたという。正常値が40だからほんの少し頭が出た。どうしても気になるようなら2週間後に測って、問題なければそれで終わり。我々からすると全く気にする話ではない。普通問題視するのは大体100を越えてから。採血毎に上がっていくようなら、肝臓が壊れたか、ウィルス感染か、心臓が悪いか、溶血などを疑うが、普通は脂肪肝程度である。どうしてもこの正常値、範囲内に収まっていないと気持ちが悪い方は多い。本来これは統計で出したもので100人を測って上下5人をはずす。残りの90人を正常値と統計処理する。だから100人測れば10人は異常な方が出る。他の血液検査も時々正常値は変わる。この数字の範囲内でなければいけないというものではない。まして肝臓など「代謝」「解毒」「胆汁生成」などやる仕事は多い。常に数字は変化している。肝臓の数値が悪いと、「お酒の飲み過ぎ。」とよく言われるが実際はウィルス感染が主な原因である。我々から見ると少し血液は異常値を持っていた方がいい。少し気になると食事に気をつけたり、無理を止めたりする。長い眼で見ればすべて血液が正常値に入っている方より、身体を意識している。この差は大きい。「一病息災」とよく言われるが、今は「多病息災」の時代である。これはあるプロのスポーツ選手の話しだが、健康食品のコマーシャルもやっている方が、「端から見ると私はとても元気に映っていると思う。しかし血液を採ると殆ど正常値に入っていない。コマーシャルの都合上伏せているが、血液の正常値と健康や元気はあまり関係がないのではないかと思ってしまう。」と言っている。身体の中を流れている血液だけ診て、すべてわかるわけではない。参考にする程度である。
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