鬱病の治療をしていると脳を臓器と思っていない方が多い。胃が悪ければ粘膜保護や潰瘍剤、消化剤で治る。腎臓が悪ければ利尿剤などで良くなる。心臓が悪ければ血管を確保してあげれば良くなる。肺が悪ければ感染症を治してあげれば良くなる。脳も臓器なので、血行不良なら血液、感染なら抗ウィルス剤、セロトニン関係なら腸を治療する。他の臓器と全く同じ考え方で良くなる。どうも脳だけ特別で何か特殊なことをやらないとダメと思っているらしい。特に我々頭に100本ぐらい鍼を刺して刺激することがあるが、これなどは全く理解出来ないみたいだ。「頭に鍼を刺して何が変わるの?頭が良くなるわけ?」疑問を持つのは何となくわかるが、脳に直接関係ないのではと思うらしい。鍼が脳に直接刺激を与える(脳に直接作用しているという説もある)というよりは、頭を刺激されて血流が上がる中で脳の血流もおまけで増えるわけである。鬱病の方に、「頭に鍼でも打ちますか?」と聞くと、「え、そんな漫画みたいな治療で本当に良くなるのですか?」と聞かれる。「鍼だけで十分かどうかは別にしても効果はあると思いますよ。」といつも答えている。現実問題、かなりの方に頭には鍼を打っている。
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