常連さんの場合、血液や他の検査データなどはうちでも管理している。時々データを見て、「あれ、この数字上がっているけど医者から注意しなさいと言われたでしょう。」と言うと、「言われたけど、少し注意すればいい程度しか言われていない。」「そうなの。でも数字から見るとちょっと本格的に取り組まないと良くないけど・・・。」と言うと、「医者からそんなに厳しくは言われたなかった。」と言う。この医者の言葉というのは何とも不思議なもので、以前がん患者が医者に病状を聞いたら、ほんの少しの間だが黙っていたという。これは重篤に違いないと患者が勝手に想像して落ち込んだという。これには後日談があって、説明をしようとした医者がある例え話をすぐに思い出せなかったという。これでは笑い話である。1つのデータを見ても、「少し気をつけなさい。」「取り組まないといけない。」「薬を飲んでみましょうか。」「上がったら投薬します。」など微妙に言葉が変わる。言っている内容はすべて同じなのだが、医者も人間、相手との関係で言葉が変わる。我々見ていて良く思うのは、太った先生は糖尿病患者には優しい。「少し気をつけた方がいいですね。」となり、あまり厳しく言わない。「先生も太ってますものね。」と患者から突っ込まれるからである。こうなると数字がものをいう。時には医者の言葉より数字で判断する方がいい。私の知っている先生は優しい。がん末期の患者にも、「出来ればこういう方がいいね。」という言い方をする。別の先生は、「こんな状況なのだからやらなくては大変なことになる。」と言う。時に患者は言葉で惑わされる。
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