人間万事塞翁が馬

学会では先輩から色々とアドバイスを頂く。特にお酒が入った懇親会では、「田中、少し俺の話を聞け。」となる。以前頂いたアドバイスで、
「例えば患者が肩が痛くて注射を打って楽になったとする。君はどうする?」
患者に、「よかったですね、嬉しいですよ。」と言います。
「ではその後痛みが出たら、この間の満面の笑みが消え、悲しい顔をするわけ?」
「え、まあ・・・・・。」
「例えばがんの患者で血液データを医者が黙って暗い顔をして1分間黙って眺めていたらどう思う?」
「なんか悪いのだろうと思っちゃいます。」
「そうだろう。だから患者心理は微妙で医者の顔色で色々と感じている。言葉より顔色を見ている。痛みがなくなって喜ぶのはいいが、どうせそのあとまた痛くなるんだから、そう言う場合はなんと言ったらいいかわかるか?」
「わかりません。」
「何よりですと言えばいい。日本語にはなんとも曖昧な表現がある。喜び合った後の落ち込みはきつい。だからよくなっても踊らず、悪くなっても落ち込まず、人間万事塞翁が馬でいる事が大事。わかったか?」
「ありがとうございます。」
当分先輩からのご指導は続きそうである。

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