常連さんがいつもと違う場所の腰が痛いという。調べてみるとそこは肋骨のすぐ下で腎臓の位置である。まさかと思って、「医者に遊走腎(ゆうそうじん)って言われたことはないですか?」と聞いたら、「え、大分昔に言われた。」という。聞き慣れない言葉かもしれないが、遊走腎は腎臓が立ったときに下に下がってしまう状態を言う。生理的にも4-5cmは下がるが10cm以上レントゲンで下がったと確認出来れば確定診断となる。細身の女性に多く、腎臓自体が脂肪に覆われているため太って脂肪がつくと良くなる方もいる。特別に治療法はないが立ち続けると悪化するので、腹巻きをする方法もある。血尿など酷くなれば手術もあり得る。我々、腰痛患者を扱う場合に、筋骨格で解決する人、胃腸で解決する人、自律神経で解決する人以外にこの遊走腎を念頭に置いている。腎臓の位置が少し腰より上なので、患者は腰が痛いと言うが痛む場所が明確に違うので区別できる。また腎臓に石ならぬ砂がたまることもある。「腎砂 じんさ」である。長年仕事をしていると腰痛と腎臓はいつもセットで考えている。
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