最近は超音波診断装置を使って身体の中を見ながら鍼を打つことがある。
何年か前にテレビで筋膜リリース(ファシアリリース)が話題になり、自分の五十肩を治してもらったり、勉強していくうちに日本整形内科学研究会のセミナーに出るようになった。
この学会で感じることは、「今まであまり人が見向きもしなかったところに答えがある」という事である。
昔解剖を学んでいたときは早く、血管や神経、筋肉を見たいものだから、皮膚を開け、脂肪を取り除き筋膜をすぐに剥いで筋肉を見ようとしていた。
出てきた筋肉はよく観察したが、脇に置かれた脂肪や膜にはあまり興味を持たなかった。
しかしこの筋膜(ファシア)が痛みを出したり、治療の結果を左右する一番大事なものと分かってきたのである。
そして脂肪にも新たに重要な働きがあることが最近分かってきた。
何十年も前に何をやっていたのかと思ってしまう。
モヤモヤ血管もそうである。
血管に造影剤を入れて画像を見ると、「何か関節の所モヤモヤしているけどなんだろうねぇ。」とよく外科の先生が言っていた。
まさかそれが長引く痛みに関係しているとは夢にも思わなかった。
EAT(Bスポット療法)もそうである。
50年ほど前にある程度わかっていた治療だが、これほどまでに難病を治すとは思ってもいなかった。
皆、「人が見向きもしない所に新しい治療の答えがある」である。
医学が進み、色々な研究から得られた結果だが、新しく勉強する内容がすべて見落としてきたものばかりである。
自分に先見性がないことを反省しながら、これからは見向きもされないものに注意をしていきたいと思った。