常連さんが忙しく仕事をしている中、社長から、「今度私の仕事を少し手伝って欲しい。」と言われたという。私は気になって、「何と答えたの?」と聞いたら、「今考えています。」と言う。私から見たらいい話なのですぐに、「はい。」と言えば良かったのにと思ってしまう。これは以前聞いた話だが、帝国ホテルの村上総料理長は修業時代上司から、「今度君、外国に行ってくれないか?」と言われ即答で、「わかりました。」と答えたという。あまりの即答だったので、「家族とかに話をしなくても大丈夫か?」と上司が聞いたが、「私が説得します。」と答えたという。さすがに名を残す方は違うと思う。この「即答力」だが、普段から色々な問題を考えていて、たまたま想定していた話が来たから即答出来たのである。想定していなければ必ず、「少し考えさせて下さい。」と言うだろう。実は治療も同じ事が言えて、普段から患者さんの症状が○○になったら、どうしようと考えていると即答出来る。「△△になったのですか、では□□がありますから大丈夫です。」と言える。仕事柄、色々な方と接するが、概して上に立つ方は即答しているように思う。もちろん時期を見たり、様子眺めという事は当然あるが、一つのことを言うと、滝が流れるごとく色々な話が出る。それだけ普段から考えていることが分かる。だから目の前にチャンスが来たときに逃さないのだと思う。こんなちょっとしたところに運命を分けるものがある。
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