当院ではよくリハビリでおおよそ良くなると、「準卒業」と言って、治療を終了する。実はこの「準卒業」がミソで、「卒業」とは言わない。理由は治療を終了しても、またすぐ戻ってくるだろうと思っているからである。例えば田舎にいて息子が高校を卒業して東京に行く場合、親はどんな気持ちでいるだろうか?東京でだまされたりしないだろうか、と思っているのではないだろうか?とても不安な気持ちで、子供を送り出すのではないだろうか。私も「準卒業」と言うときは同じ気持ちである。90%痛みは取れてもはしゃいで、無理をするのではないだろうか。解放されたと喜び、気分も高揚して何をするかわからないと思っている。だから色々な方に「準卒業」と言っても大抵はすぐに戻ってくる。それも2-3回。案外価値のない卒業である。そういう方達の身体を診る度に、「はしゃぎたい気持ちは分かるが、病み上がりなんだから・・・。」と思ってしまう。人は何故か治療中に損をしていると思っている。時間を無駄にしたとか・・・。だからそれを取り戻そうとはしゃぐ。そして負担をかけもどってくる。酷い方だと悪い脚にかなり負担をかけて戻ってくる。内心、「そりゃないでしょう。」と思ってしまう。毎回そんな事を思いながら、「準卒業」と言っている。
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