紹介で学校の先生が来ている。酷い首の痛みで、紹介者からは、「鍼でも打ってもらえば・・・。」と言われたと言う。身体を調べてみると極端なストレスでほぼ8年ぐらいの時間経過がある。こんな状態で鍼を打ったらどんな反動が出るか分からない。こちらは長い経験があるので、今までの経験と失敗から、こんな時は患部は触ってはいけない事を知っている。周りから徐々に攻めて、ようやく身体に受け入れ態勢が出来てから鍼を打てば綺麗に効く。しかし本人は、「どうして鍼を打たないのですが?」と聞く。ここで例え話をした。「先生が担任をしている生徒に成績の悪い子がいるとします。ある時その子の家庭訪問をしたら、食事はちゃんと与えられていないし、部屋に暖房はない。両親が喧嘩ばかりでとても勉強できる環境がない。それでも先生は勉強しろと言いますか?先ずは食事をとらせ、部屋を暖かくしてそれから少しずつ勉強を教えませんか?いきなり鍼を打つというのは劣悪な環境のその子に参考書を突きつけ、勉強しろというようなものです。」と伝えたら、黙ってしまった。身体には治療に対して受け入れ態勢があり、それがない時にどんないい治療をしても無駄。その環境を作り、時期を見極めるのが我々の仕事で、結局その方がどんな環境で生きてきたかまで見ないと、治療にならない。それぐらい環境を整えるというのは大事な事と思っている。
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