寛解(かんかい)について

先日、リウマチの講義を聞いていたら担当されていた先生が、「この患者は寛解(かんかい)しました。」と説明していた。この寛解(かんかい)という言葉だが、あまり日常生活では使われない。
「治癒」は治ったことを意味するが、「寛解(かんかい)」は一時的に楽になったり、症状が消えた状態で、治る可能性もあるが、再発も否定出来ない。がんなら縮小または消失しているが、がん細胞が再びふえ始めたり、転移したりする可能性はある。
がんもそうだが、腎臓病、リウマチ、白血病などでよく使われる。我々はこの言葉を聞くと、「完治する病気ではないのだなぁ。」と感じる。しかし定期的な検査や体調管理で寛解状態を続けることは可能である。私もがんの患者さんには、「がんは身体から消えない。免疫を良い状態で保ち、がんが暴れないようにしましょう。」と説明している。実は我々が扱う、「風邪」「喘息」「坐骨神経痛」なども完治するかと言われると難しい。特に風邪など、「一生風邪を引かない身体にして欲しい。」と言われると、頭を抱えてしまう。風邪を引いたが早く治して欲しいと言われれば治療法はあるが、引かないようにして欲しいというと完全隔離ぐらいしか思いつかない。坐骨神経痛も、腰が痛いから治してくれと言われれば楽なのに、「一生坐骨神経痛を感じないようにして欲しい。」と言われると困る。
完治しないと不安を感じる患者さんがいるかもしれないが、調べてみると寛解しかしない病気は多い。
我々に出来ることは病気が暴れない環境を作る事しかない。

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