エンジン、ブレーキ、ハンドルの話

以前ある社長から、「お前、エンジンとブレーキでどっちが大事か分かるか?」と聞かれ、「やはりエンジンは良くないと・・・」と答えたら、「じゃ『この車エンジンが凄いんです。ブレーキを踏んでも止まらないぐらいパワーがあります。』と言われたらどうする?困るだろう。だからブレーキの方が大事なんだよ。色々な経営者を見てきて大きなエンジンの人は多いけど、ちゃんとブレーキをかけられる人は少ない。エンジン自慢より本来はブレーキ自慢が大事なんだよ」と教えて戴き、唸ってしまった。患者さんの中には、ハンドルが甘く少しずれた方向に行く人は多い。そんな人のエンジンが強ければやがて壁にぶつかるか、崖に落ちてしまうだろう。もちろんどれも大事だが、本当はブレーキが1番大事で、2番目はハンドル、最後はエンジンなのである。しかし人は、「他の人よりタフです」とエンジンのことしか言わない。ハンドルの正しさもなければ間違った方向に行ってしまう。そして最後の砦、ブレーキさえちゃんと働けば大事には至らない。正しい方向で努力をして、時にはエンジン全開で走る。しかし問題が起これば必ず止まる。この考え方をしている人は少ないように思う。

image_print印刷する