これは日舞の常連さんの訴えである。踊りながら腕を伸ばしたりポーズを取ったりするのであろうが、本人の感覚として、「腕が伸びないから、腕を治療して欲しい。」と言う。気持ちはわかるが我々からすると、「腕が伸びない原因は腕ではなく、肩関節や肩甲骨、胸骨のゆがみの問題」と思ってしまう。例え話をすれば、ある方が3階に住んでいてどうも部屋が傾いているから椅子を調整したりしようとしている。よく見ると机も傾いている。一方の足だけ切ったり、継ぎ足したりして水平にしようとしている。しかし遠くから見ると3階がおかしいのではなく、土台の1階から傾いていたら3階を治す前に、土台に手をつけるであろう。その土台に当たるのが、肩関節や肩甲骨、胸骨のゆがみである。試しに腕を揉まず、肩関節、肩甲骨、胸骨のゆがみのみを治療した後で、「どうですか?」と聞いたら、「あれ、伸びる」と言っていた。腕が伸びないのは結果で原因はもっと根本にある。足が挙がらないのも原因は同じで、股関節や仙腸関節、腹圧の問題である。だから踊りを専門にやっている方達には厳しく胃腸の指導をしている。
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