インターネットの発達と共に、患者が自分で色々と病気を調べられるようになった。気になる症状を入れるだけで病態から治療法、何処の病院がいいかまで簡単に調べられる。しかし我々から見ると少し困った事がある。それは、「調べれば調べるだけ難病が出てくる」ということである。例えば簡単な風邪なら、「安静、葛根湯」程度で書くことがない。しかし咳が止まらず調べ出すと肺がんまで行ってしまう。もちろん肺がんのケースはあるが、軽い気管支炎程度でも患者は、「肺がんかも」と思うようになる。調べれば調べるだけ、「これは私の症状に当てはまる」と思ってしまうので不思議である。当院ではLINEで患者と繋がっているので、最近は「考えるな、聞け」と言っているが、どうしてそういうところまで行ってしまうのか聞いてみると、患者は自分の持っている医学知識を総動員して、調べた知識と組み合わせて自分独自の考え方を作ってしまう。そしてある仮定をしてその上に理論を積み上げる。我々から見ると土台から間違っている。その上に積み上げた理論だから、聞いたこともないような話になってしまう。「え、それ新しい学説?そんな論文出たの?」と言いたくなってしまう。患者はその積み上げた結論で悩んでいるから、たちが悪い。説明するだけでも時間がかかる。殆どの話は、「それは手術で完治するから大丈夫」「それは○○さえ調べておけば何の問題もない」「それは△△先生が専門だから聞けばいい」「それは□□の場合に当てはまることで、あなたの場合は考えにくい」というレベルである。逆に困るのはちゃんと調べてもらわないと後々困るのにほったらかしのケースである。「いつかは治ると思っていました」「そんな事が奥に隠れているとは知りませんでした」「胃が悪いと思っていたら心臓の症状だなんて想像もしていませんでした」などである。ここ1週間で指導しただけでも、「鎖骨骨折の手術」「甲状腺の病気」「血痰の話」「体重増加と坐骨神経痛」「不眠と胃炎」「橈骨神経痛と検査」「腰椎椎間板ヘルニアの手術」とこれだけある。医者に行って難病と言われてから調べても遅くはないのである。
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