お年寄りの常連さんが足が痒いので皮膚を診てくれという。診たらかなり赤くなっていて引っ掻いた跡がある。「もう血管が見えている。皮膚が剥けているので1ヶ月ぐらいは掻いたでしょう?」と言ったら、「2ヶ月は過ぎている」と言う。ある程度年をとると「老人性掻痒-ろうじんせいそうよう」と言って皮脂の分泌が悪くなり、水分が乾燥で保てなくなり、痒みを訴えてくる。まだ本人が分かっていれば良いのだが、無意識に寝ている間に引っ掻き、悪化してしまうケースは多い。すぐに皮膚科に行けば何の問題もないのに、痛くなかったり無意識だったりすると受診が遅れてしまうのは仕方がない部分はある。昔、病院勤務時代にある病室が寝たきりの老人ばかりだった。たまたま担当医が変わり身体全体を診たら酷い床ずれの患者ばかりで、慌てて看護師が紫外線消毒のために患者のお尻を出し窓側に並べた。酷い方は骨まで見えていたが治療が功を奏し、順調に回復した。お年寄りの皮膚炎というとその印象が強い。今日来た患者には皮膚科に行くように話したからいいが、そのままほったらかしの方は多いと思う。皮膚のバリアもなくなってきているのだから、若い方以上に自分の身体はチェックして頂きたい。
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