スポーツや踊りなどで足を痛めている方は多い。治療で段々良くなると、患者さんとこんな会話をしている。
「あれ、この間ここが調子良くなったのに、また少し筋肉が硬くなっている。無理した?」
「いえいえ、無理なんかしていません。ほんの少しだけ負担をかけただけです。」
「ほんの少し?どれくらい?5分10分?」
「え、15分・・・、20分、30分弱かも・・・」
「前回、少し良くなっても舞い上がってはいけないという話はしましたよね。」
「ええ、覚えていてちゃんと守っています。」
「でもこの筋肉をみる限り、相当負担をかけないとここまで硬くはなりませんが・・・」
「そんなに負担をかけたつもりはありません」
「初めは調子よくても途中から、痛みが出たのではないですか?」
「ほんの少しだけです、でもすぐ回復しました。」
「痛みが出たのですね」
「ほんの一瞬だけ・・・」
「終わったあと少しやり過ぎたと感じたのではないですか?」
「少しだけ・・・。でもすぐに冷やしたら楽になりました。」
「現段階でこのような負担をかけるのは、治癒を遅らせる可能性があります。まるでかさぶたをすぐ剥いてしまうようなものです。」
「わかりました。今度からもう少し加減します。」
「え、今度から加減するということは今回加減しなかったの?」
「良くなったので少しだけ本気を出してしまいました。踊れるようになったので、嬉しくなっちやって・・・。次回からちゃんと加減します。約束します。」
その後こういう患者さんの筋肉の状態がどうなるかは皆さん簡単に想像がつくと思う。今まで出来なかったことが出来るようになると人は舞い上がって色々と試したくなるものである。気持ちは分かるがくれぐれも程々に。