病気をカテゴリーで考える

長年仕事をしていると、「あそこのリハの先生は医者で治せなかった肩の痛みを治した」「腰の専門家でも治せなかったのをあの先生は手術で完治させた」という類いの話はよく聞く。これは皆さんが病気を一つのもの、カテゴリーで考えているからこういう話になってしまう。まず関節の痛みなら痛みの原因が「関節の中にある」か「関節の外にある」で変わってしまう。一般的に整形外科なら、「関節の中が酷くなっているから痛みは強い」という判断をする。しかし痛みの原因が関節の中になく外だとしたら、「関節の中を手術をしてもらったが痛みが全く変わらない」となってしまう。我々リハの人間は関節の外の治療が得意で、我々がある程度治療してもダメなら、「痛みの原因は関節の中?」と思ってしまう。これはもう手術しかない。この区分けが出来ていないとドクターショッピングをすることになる。以前はレントゲンを撮って、医者が「あなたの関節は○○だから痛みがある」という説明が定番だったが、最近の学会では、リハビリの効果も数値判定出来るようになってきていて、手術をしている医者も「リハで治る患者はとても多い」と感じてきている。実はもう一つ考える必要がある。「医者で注射や手術の対象」か「リハの対象」である。私など昔は肩の痛みの患者に対して、「まずこちらのリハで治療してダメなら、医者で注射か手術」と考えていたが、最近は逆になった。「まずレントゲンで診てもらって、注射や投薬でダメならリハ。そうすれば関節の中の問題と医者の治療が終わっているので、殆どは我々の治療対象となり効果を上げやすい」と考えるようになった。自分の症状に対して「関節の中?外?」「医者の得意分野?リハの得意分野?」がわかると悩まなくて済む。このカテゴリーの考え方は余り世間では言われていないように思う。わからない時は是非聞いて欲しい。

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