膝痛の方にはサポーターをよく薦めている。
サポーターの色は黒だから、目立つように白いズボンを履きなさいといっているが、女性は中々履かない。
こちらにしたら、「包帯でも杖でもつけているだけで『あ、あの人、足が悪い』とわかるから、身を守れる。」と言っているのに、いかにサポーターを目立たせないかばかりに気持ちが動く。
この心理がどこから来るのか考えた。
おそらく、化粧でも洋服でも、「いかに欠点を隠すか」が身についているからだと思う。
顔にシミがあれば、完璧に隠せた時に喜ぶだろうし、お腹が出ていればウエストが細く見えを服を着たがる。
隠すことが当たり前で、上手に隠せた方が勝利で、また評価が高いのであろう。
髪の毛でも、「切ったか切らないかわからないように切って。美容室に行ったことがわからないように・・・」と言うが、私には全くその心理がわからない。
私などは誰が見ても明確に床屋に行ったことがわかる。
こういう事を書くと思い出す話がある。
あなたが猫で目の前に普通のネズミとハリネズミがいた場合、どちらを食べるだろうか。
普通はハリネズミは避けるであろう。
見た目によって行動は変わってしまうのである。
だから当院の患者には、「そんなに辛くなくてもいいから、包帯や杖をしなさい。身を守れるから・・・」と指導をしている。
駅の階段でも杖を持っている人には近づかないし、電車の中でもサポーターをしている人には席を譲るであろう。
本当にどこまで痛いかはわからないが、杖やサポーターもせず、「こんなに膝が痛いのに、誰も席を譲ってくれない」は伝わらない。
こんな話をしたら、「わかりました。ではズボンの色を黒から濃紺に変えます」と言われ、先は長いなぁと感じた。