以前ブログで、「どうせ痛くなるに違いない」を書いた。また、「いつまでも残る古傷」とも書いた。若い患者さんだと少し腰や肩を痛めて良くなると、「完治した」と思いたいらしい。気持ちは分かるが、身体はスイッチ論なので、ほんの少し無理をしただけで古傷が騒ぐ。そうなると患者は、「又痛くなるとは思わなかった」と必ず言う。当院では殆ど良くなっても「卒業」とは言わずに、「準卒後」としか言わない。それはまたすぐに戻ってくることを知っているからである。ちゃんと治していないのではないかと言われそうだが、痛みがゼロになっても再発はする。結局古傷の記憶は残っているのである。そこに無理をしてスイッチが入る。患者さんの気持ちは、「俺は治ったのだから何をしても大丈夫」と思っている。これは間違いである。私も数ヶ月前に脊柱管狭窄症をやり、ほぼ治ったが、少しでも腰が重くなると、「また悪化するに違いない」と思ってしまう。しかし患者は、「この程度の事は大したことはない。だって完治しているから。」と言って、無理を続けて完全に再発する。そして又、「こんなになるとは思わなかった。」と言う。この考え方の違いは大きい。では一生治らないかというとそうではない。痛めた周辺の筋肉を鍛えたり出来ることは沢山ある。しかし殆どの方は辛くなくなると治ったと思っている。痛いことをマイナスとすれば、ゼロになれば来なくなる。身体を鍛えて、プラスにして貯金をしておこうと考える方は少ない。プラスの貯金をしないのなら、以前ブログにも書いたが、「何となく不調ぐらいが丁度良い」といいながら、ちょこちょこメンテをしながら愚痴を言いながら、「まあ、こんなものでしょう。何とか生きている。」ぐらいが長い目で見て1番いい。
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