常連の女性が、「私は少しお節介なところがあって、人に色々と頼まれたりして、何かをしてあげるのはいいのだけど、その後感謝しない人を見ると少しイライラする。これはあるお坊さんから聞いた話しだが、そのお坊さんが子供の頃に人に自転車をあげたという。そうしたらもらった人が乱暴に自転車を扱ったので腹が立ち、母親に言ったら、『あなた、あげたものはもう人の物。自分のものでもないのにどうして腹を立てるの?』ときつく叱られたという。結局、何かしてあげても物をあげても『自分』が残っている。私はここができないのよね。」と言っていた。この話を聞きながら、これはやはり女性ならではの「母性」だと感じた。中々人に施して見返りを求めないのはむずかしい部分がある。人に期待をしないのが一番かもしれないが、おそらく、偉いお坊さんに聞けば、「与える喜び、喜ばすことが出来た喜びがあるではないか」と言われるであろう。中々聖人君主にはなれないが、そういう事が気になるのが人である。こういう話を聞く度に、小椋佳の「未熟の晩鐘」の歌詞にもある、「悟りとは無縁の未熟を愉しむ」を思い出す。
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