常連さんが少し肉体的に過酷な仕事をした後に、疲れを解消しようとかなり熱めの風呂に入ったという。その後から首が痛くなり、来院された。少し気になったので血圧を測ったら、かなり高い。「これは身体が反乱を起こしたなぁ。」とすぐにわかったので、自律神経を鎮める治療をした。治療後、血圧を測って下がっていればいいのだが、殆ど変わっていない。しかし首の痛みは取れたという。この話を聞きながら、「これには危険が潜んでいる。」と感じた。理想的には治療後、血圧と首が両方良くなればいいのだが、血圧が変わらないということは自律神経の興奮がそのまま残っていて、身体からお許しを頂いていないことを意味する。しかし本人は首が楽だから安心してしまうだろう。こういう場合、うちに来ないで首の痛みに対して鎮痛剤だけ使えば、「熱い風呂に入って首は痛くなったが、鎮痛剤で治った。また鎮痛剤を飲めば熱い風呂に入っても良いだろう。」という判断をするであろう。益々血圧が上がりそうである。この方には少し血圧を測る癖をつけていただきたいと伝えた。身体は必要に応じて勝手に血圧を上げたり下げたりする機能がある。首や頭が重いのも姿勢や鼻炎、眼の疲れなどもよく反応するところなので、血圧以外にも何か問題があるのではないかといつも疑っている。ちょっとしたところだが、そういう身体の本音を診ておく事はとても大事である。
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