年配の常連さんが、「昔友だちが人の悪口を言っていたので、『へー』と言っただけで、周りにその方も同じように悪口を言っていたように広まってしまって困ったという」と言う。これは実によくある話で私などはかなり気をつけている。患者が、「このサプリメントいいですよね」と聞いてきて、「そうですね」と言っただけで、「田中先生もいいと言った」や「先生は否定しなかった」と言われる経験をした。こちらは、「あなたが飲みたいのなら、まず試したらどうですか?それから考えてもいいのではないですか」と言う意味なのに、何処でどう変わったか、「先生も勧めた」になってしまう。これに懲りて今では、「あ、そうなの?」という返事以外していない。患者がこちらのお墨付きが欲しい気持ちは分かるが、勘違いされそうな方には、カルテにその旨(○○サプリメントを本人が試したいとのこと)、記載するようにしている。一番いいのはこちらがダメと言って本人が諦めるより、本人の意志で失敗することである。これが1番いい。そうなると自分で中々決められないとなり、専門家の話も素直に聞くようになる。この心が出来れば、「どうしたら良いでしょうか?」と素直に道を求める。患者が自分でいいと思って買った物は、悪く言われたくない気持ちは分かるが、大事なことは本当に効果があるかどうかの判定である。そんな経験を何度もしているので、「あ、そうなの?」としか言わない。
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