うちは新米ママが多いので、よく「産後の骨盤矯正をお願いします。」と言われる。妊娠すると、リラキシンというホルモンが増え、このホルモンは出産時に赤ちゃんが産道を通りやすくするために、骨盤の周辺の関節や靱帯を緩める作用がある。おそらくこの事が雑誌に書かれていて、お母さん同士の会話によく出てくるのだろう。そしてこの「骨盤矯正」と言えば共感しあえるのだろう。「私初産で産んだ後から、腰が痛い。」「あら、それは骨盤が緩んでいるから、骨盤矯正が必要よ。」「じゃ私も座っていると腰が痛くなるのは骨盤が緩んだせい?」「それも骨盤矯正してもらいなさい。」「骨盤ベルトをしたら楽になった。やっぱり骨盤が緩むんだ。」と女性同士の会話が聞こえてきそうである。しかし我々から見ると産後の腰痛は、「不眠」「子供の抱っこ」「独特の姿勢」などが原因で、本当の意味での骨盤矯正が必要な方は少ない。骨盤ベルトは普通の腰痛の人にもよく効く。本当に骨盤が緩めば、「咳で尿漏れ」「乏尿・頻尿」「便漏れ」「歩行障害」などと症状はかなり深刻である。妊婦はよく足が浮腫と言い、それが産後まで続けば、「骨盤が緩んでいるからだ。」となるが、そういう方の浮腫の原因は、殆どが家に居て赤ちゃんを抱っこしてエアコンで冷やしているからである。ここまで骨盤が悪いと言われると、私が骨盤なら、「何でもかんでも産後具合が悪いのは全て私のせい?いい加減にして欲しい。」と怒ると思う。「産後だから骨盤が緩くなるのは仕方がないよね。」と世間では言っているようだが、新米ママの骨盤矯正は普通の腰痛治療と何ら変わらない事を伝えておきたい。
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