ブログ諺⑬-治療は芸術

これは少し格好つけすぎかも知れませんが、この治療の仕事というのは実は患者さんを対象にしていないのです。
では何を対象にしているかというと、「自然」「神」「宇宙」なのです。
少し大げさな話になりましたが、実はそこに対しての目がないと、治療技術はとても低いものになってしまいます。
例えば患者さんが腰が痛いとして、「鎮痛剤を出しておきます」でもいいのですが、我々から診ると患者さんの生活習慣や考え方、たまたまその時の何かが影響をして、腰痛を訴えているのです。
以前胃炎の患者に診た先生が、「君はお父様を亡くしてさぞかし辛いだろう。僕と今晩、酒を飲みに行こう。」と言われ、「先生、僕は胃が痛いんです。」「大丈夫だから・・・。何かあれば治療するから。」と言われ、先生と居酒屋に行って、酒を飲んだら胃が治ってしまったと言う話がありました。
これは極端な話ですが、臓器を診ても答えがない場合があります。
その人を診ないと答えが出ない場合があるのです。
胃炎の患者を飲みに誘うのは芸術だと思います。
先生が胃炎患者の裏の背景を読んでいるのです。
それがもっと進むと先程の、、「自然」「神」「宇宙」を意識するようになります。
我々がいくら考えても答えが出せない存在を治療しているのです。
科学や理屈だけでは治療できません。
芸術家が、「自然」「神」「宇宙」を見ようと絵を描いたり、音楽を作ったりするのと同じ工程が治療には必要なのです。
そこを診ようとしないと、「この間の鎮痛剤は効かなかった。ではもっと強いのを出しておきます。」になってしまいます。
人間は自然や神の一部で、私はオバケみたいな存在だと思っています。
捕らえどころがなく、いくら調べてもわかず、結論が出せない。
だから治療を芸術だと思って絵を描くのと同じような感覚でやると、うまく行く事があるのです。
治療しながらピアニストがピアノを弾くように身体をいじると、うまく行く事があるのです。
この「治療は芸術」という感覚や考え方はほぼ間違いはないと思っています。

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