膝痛に関してはいくつか苦い思い出がある。まずは病院でリハをしていたときに、2ヶ月間何をやっても膝の痛みが取れない患者がいた。あまりに取れないので、詳しく診たら微妙に膝に熱を持っている。それ以外問題がないので、氷で徹底的に冷やしたら見事に痛みが取れた。「膝に熱があると痛みは取れない」と学んだ。また地方から来た患者で何をやっても痛みが取れない方もいた。その後来なくなり、数ヶ月後に別件で来たときに、「あなた、痛みどうしたの?」と聞いたら、「近所の先生に擦ってもらったら治りました」と言われ、どんな風に治療したのか聞いたら、かなり皮膚を強烈に擦ることがわかり、それが現在のオイルマッサージの基礎になった。
では少し膝治療のコツをまとめてみたい。
1.太腿(大腿四頭筋)が膝痛の支配権を持っている-硬くてほぐれない時はオイルマッサージが一番有効
2.膝に熱があったら反対側と同じになるまで徹底的に熱対策をしないと痛みは取れない
3.靱帯や半月板を痛めた場合は合ったサポーターが必要
4.膝周辺の血管や脂肪体が痛みの原因になっていることがある
5.膝の人工関節にした場合はリハビリは必要
6.膝へのアルツ注射(ヒアルロン酸)はやってみて効果を感じるなら続ければ良い
1.太腿(大腿四頭筋)が膝痛の支配権を持っているは、膝痛は膝自体に問題があるより、太腿の筋肉が硬いか弱いかで起こるケースがとても多い。硬ければ揉んだり、鍼、パルス、オイルマッサージでほぐすし、弱ければキネシオテーピングやサポーターで補強をすれば膝は楽になる。
2.膝に熱があったら反対側と同じになるまで徹底的に熱対策をしないと痛みは取れない。たった左右で0.5度の温度差があっても痛みは取れない。患者には膝頭を右手で右膝頭、左手で左膝頭を触り、温度を感じ、次に手を入れ替えて、右膝頭を左手で、左膝頭を右手で触り、微妙な温度差を確認するように指導している。熱対策は自宅では患部を氷で連続冷やし、外出時は冷たい湿布を連続装着し、かぶれる場合は湿布のセロハンを取らずにネット包帯で固定するように指導している。
3.靱帯や半月板を痛めた場合は合ったサポーターが必要は中々良いサポーターに出会えないという事だ。当院では今までいくらサポーターを買って試したかわからないが、現在は「ショートニーラップ」で落ちついている。半月板や靱帯をかなり痛め止まった場合は、もっと強烈なサポーターが必要だが、レントゲンを撮って大きな問題がないレベルの膝痛なら殆どこれでカバーできる。
4.膝周辺の血管や脂肪体が痛みの原因になっていることがあるは、「モヤモヤ血管」や軟部組織の「脂肪体」が痛みの原因になっていることが最近わかってきた。脂肪体なら「ファシアハイドロリリース」、モヤモヤ血管なら「塞栓術」がある。
5.膝の人工関節にした場合はリハビリは必要は、股関節の人工関節術なら殆どリハビリはいらないが、腰や膝の手術の後は必ずと言って良いほど、痛みが出る。最近病院では、手術後すぐに退院させてしまうためリハビリ難民患者は多いが、「手術」と「リハビリ」は本来車の両輪でどちらが欠けても走れない。
6.膝へのアルツ注射(ヒアルロン酸)はやってみて効果を感じるなら続ければ良いは、論文的にはヒアルロン酸注射の効果はあまり高くはないが、実際は効いたという患者は多い。医者でも我々治療家でも治すためにやっているが、結果を全て予想できるものではない。治療した後、「え、効いたの?」はよくある事である。理由などわからなくても効けばいいのである。