この仕事を長年丁稚奉公から続けていると、色々と人生の先輩から学ぶことは多い。「先生の鍼は最高や。こんな治療受けたことない。素晴らしい!!」と言われてこちらがいい気になっていると、「でもまだ痛い。治ってないかもしれない。」と言われる。結局、治っていない事をストレートには言わず、先生を褒めて持ち上げといて、又治療してもらう。実に乗せ方が上手い。患者によっては痛いのに痛くないと言ったり、その逆もよくある。これは患者が利口で、「ここでこの痛みのことを先生に言ったら、○○と思われてしまう。今は□□と言っておこう。」という判断が働くためであろう。我々からみたら、「症状は正直に言えばいい」と思ってしまうが、時に患者が小利口になることがある。この小利口だが、時に我々の判断を狂わせることがある。昨日も捻挫で走れなくなった患者が、「痛みは残っているけど、少し走ったら足は楽になった」と言ったので、「そうならこれは治療して痛みを減らせれば走れる」と判断した。案の定、治療後痛みがなくなり、「これなら走れそう」と言っていた。我々は患者の一言から病状を判断しようとする。我々にいい治療を受けるための利口は結構だが、症状に関しては常に正直であってほしい。
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