常連さんが新しい部署に行き、気合を入れて仕事をスタートさせたらスタッフから少し倦厭されてしまったと言う。これを聞きながら思い出した話がある。ある有名な講演家が話し始めには気を使うと言う。それは絶対に大きな声でしゃべり始めないという事だ。理由は大きな声で威圧的にしゃべってしまうと、観衆は身を引いてしまい話が耳に入らないという。しかし小さな声でしゃべり始めると、観衆は耳をステージの方に近づけ、身を乗り出して聞く態勢が出来るという。この話には成る程と思った。
テレビなどで新任の社長がスタート早々気合を入れているシーンを見るが、スロースタートでじわじわと戦略を実行し、気がついた時には新しい社長カラーに染まっていたというのがいいと感じてしまう。
特に3代目4代目の社長の場合は、今までの重鎮がいるから若社長の意向が通りにくい。初めから飛ばしてしまうと、「3代目は先代とは違う。ついていけない。」と言われかねない。先代もそういうことは良くわかっていて、「古い方達を大切にしながら徐々に自分のカラーを出していけば良い。」とアドバイスしているようである。
治療にも同じ事が言える。初診でいきなり太い鍼をブスッと刺したら、患者は驚いてそのあと来なくなってしまう。しかし数回話を聞き、少し治療してうまくいかなければ、「もう少し太い鍼で刺激してみましょうか」と言えば、「そうですね」と患者も受け入れてくれる。
ロケットスタートが良いのは学生時代の運動部やベンチャー企業だと思う。
私も少し年を取ったせいか、スロースタート、じわじわしみ込み作戦という考え方に変わってきた。