最近の腰痛治療

長年仕事をしていて、腰痛治療のポイントは「足をほぐす」「肩や背中を緩める」「お腹の治療」「頭をいじる」「精神面」と言ってきた。
「患部が問題ならそこをいじれば良いが、長患いの腰痛は患部を触らない」という話である。
最近数多くセミナーを聞いていると、こちらは長年の経験だけで掴んだことが効くには明確な理由が解剖学的にあり、そのかなりの部分が解明されてきた。
当院では腰が痛い時に按腹と言ってお腹をよく触るが、お腹の筋肉にも腰からの神経が回り込んでいてそこと、お腹の深いところの筋肉(大腰筋)を刺激すると、腰の膜が緩めむ事がわかってきた。
足をほぐすことで坐骨神経痛など、神経が伸び縮みすることや、その影響が何処にどういう形で出るかなどもわかってきた。
肩や背中も筋肉や膜が腰の関節に深く関わってきていることも解明されてきている。
また老化による骨の変形やそれに伴い神経の出口が狭くなる問題や変性と言って、段々組織が硬くなったり、血行不良などが起こることも解明されつつある。
昔は腰痛の原因は80%がわからずで終わっていたが、新しく詳細な解剖の知識や分類、CT、MRI、超音波診断のお陰で病態が手に取るようにわかり始めてきた。
それに伴い日々勉強は大変だが、当院でも新しい取り組みを始めている。
常連さんの中には、「あれ、いつもと違うことやっている。何か変えた?」と感じる方もいる。
時代の流れと共にここ数年で大きく変わりつつある腰痛治療、おそらく後20年もすると、「2020年代にはそんな事やっていたの?信じられない。」という時代が来ると思う。
コロナのお陰ですっかり学会がZoomになり、セミナーなど手軽に勉強できる機会が増えた。こんな事はかつてなかったことである。
常にもっといい治療があるはずだという探究心は、全く変わっていない。

image_print印刷する