以前ボイトレの先生から、「発声は身体全体が楽器になる。正しい身体の使い方をしないといい声は出ない。そのために詳しく解剖を勉強しないと指導できない。」と教えて戴き、その先生の本を見たらほとんど我々が使う解剖書と遜色がなかった。歌い手さんは身体の使い方の本はあるが、では料理人はどうであろうか?詳しくは知らないがあまり見かけたことはない。当院の常連さんに飲食の方が何人かいて、皆訴えてくる内容が同じである。長時間の立ち仕事、腕の使い方、立ち方、鍋の振り方・・・。どうしても同じ動作の反復になってしまうので、同じ所ばかりに負担がかかる。鍋を振る場合は腕の屈筋のこりはかなりなもので、腕は自覚が出ない分、肩が痛いと言って来る時にはもうかなり腕はやられている。こういう患者を診る度毎に、「職業別身体の使い方」という本があってもいいように思う。「和食の場合は包丁作業で小指を痛めるから○○の姿勢と包丁を持つ角度はこんな感じ」「中華の場合は鍋の振る角度と持ち上げ方、お玉の返し方」など、専門職的に色々ノウハウはあると思う。これは学校の先生や保育士さんにも当てはまると思う。何でもマニュアルの時代なのだから、うちに来ている患者には指導はしているが、何とかならないかと思ってしまう。
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