地方から常連さんのお父さんが来た。以前腰の手術をして、少し大変な思いをしたが、今はなんとかなっているという。以前からこの方は庭いじりが好きで、家庭菜園から花壇、芝までちゃんと管理している。腰の手術のあとはちゃんと運動をしようという気になっていると思うのだが、身体を診たら、上半身ばかり使っていて、下半身の筋力が低下していた。これには本人も気がついて、「腕相撲では若い者に負けないが、ジーパンがぶかぶかで格好悪くて困っている。」と言う。本人はもう少し下半身を鍛えればと言うがこれには落とし穴がある。上半身を使い過ぎている方は、我々から診ると「カニ」みたいにみえる。手だけ大きいカニである。上半身にゆとりがない状態で下半身を鍛えたら、その負担は腰で爆発してしまい、腰痛が悪化する。上半身を休めておけば、下半身で無理をしても逃げ道があるので、腰痛が悪化しない。これは身体のバランスの問題である。例えがいいかどうかはわからないが、子供がいつも父親に怒られていても、おばあちゃんが同居していれば助けてくれる。「あんなに強く言わなくてもいいのにね。あの子だって昔はわがままだったのに・・・」となれば孫は救われる。しかしそのおばあちゃんからも怒られれば子供は逃げ道がない。子供が不良になるのは見えている。何か新しいことをする場合はちゃんと逃げ道を確保しておかないといけない。ここがわからないと、「腰をよくしようと思って下半身の筋トレをしたのに、腰が悪化した。理由が全くわからない。」となる。これは我々のようなリハの専門家しかわからない。腰は単独で成り立っているわけではなく、他との協調運動で成り立っているのである。一カ所で何か変化すれば周りが必ず影響を受ける。ただ腰が悪いからといって、闇雲に下半身を鍛えればいいというものではない。
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