私自身、食通ではないので偉そうなことは何も言えないが、患者さんの話を聞いていて、何時もしゃぶしゃぶの話には疑問を感じている。「しゃぶしゃぶの締めにご飯、うどん、餅を入れて一粒も残さず食べるのが最高」という話を聞く度に、「何のために肉の脂を落としたの?」と思ってしまう。本来肉は炭火で焼けば、カルビがロースになり、胃もたれせずいくらでも食べられる。本来胃はタンパク質の分解は得意で、油が入ると途端に疲れてしまう。これは以前聞いた話だが、世界最高の肉はアルゼンチンで赤身だそうだ。アメリカのクリントン大統領の好物だという。日本では以前、口蹄疫の問題から、全面輸入禁止になっているが、少し規制が緩みそうだという。日本ではいい肉の事を「サシが入った」と言うが、外国ではあまり聞かない。調べてみたら「サシ」のことは「marbling(大理石模様)」と言うらしい。外国から来ている患者に聞いたら、「fat (脂肪)」で通じると言う。しかしこの「サシ」、まぐろで言えば大トロだが昔は食べなかった。理由は「脂っこい」とか「醤油の漬けが染みこみにくい」などの理由で捨てられていた。いつの時代からか、おいしいに変わってしまったが、鮭の卵(いくら)もそうである。北欧では捨てられていた。牛肉に関しては懐かしい思い出がある。以前家内と那須にドライブしていた時に、たまたま入ったレストランが牛肉の専門店だった。「うちは牛肉りA5ランクの中でも特別なシャトーブリアンを使っている。うちしか出せない特別なもの。」と言う。値段見てびっくり。150g8000円である。こういう経験も一生に一度ぐらいはいいだろうと思い、注文した。シェフが色々と説明しながら焼いてくれる。しかし150gだからパクッと食べて終わり。「最高のお肉はこんなに脂っこいのか」というのが正直な感想。毎回、しゃぶしゃぶの締めの話になると150g8000円のシャトーブリアンの話を思い出す。