負けながら勝つ

以前から、耳鳴りに関しては中々治らないので、色々と書いている。先日、Bi-Digital O-Ring Test医学会の国際学会があり、いい機会なので耳鳴りの論文を1本書いた。最近は簡単に論文検索ができるので、時間さえあれば何とか形にはすることが出来る。調べてわかったことは、「耳鳴りの原因で検索すると20-30も出てきて、結局は本当のことは誰も分かっていない。そして治療法も同じく存在していて、成績がどれも30-70%で決定的なものがない。」ということである。ではこうなるとどう闘ったらいいのだろうか。経験的にお年寄りの耳鳴り患者を診ていて、「負けながら勝つ-敗北を認めながら勝とうとする」「諦めずにこれくらいならいいやまで闘う」「自分が医者と思い、徹底研究」といつも感じている。
治らないなら治らないなりに戦い方はある。決して諦めたわけではない。希望は最後まで捨てないが、治ることだけにこだわらず、腹をくくる部分はある。耳鼻科の医者に相談しても、耳鳴りは「諦めなさい」か「一生、うまくつき合っていきなさい」ぐらいしか言われないから、日々の生活の中で何かをやって耳鳴りが楽になったかをちゃんと覚えておく必要がある。そして不思議なことに仕事に集中しているときに辛いという人は少なく、夜静かになった時が辛いという。たまたま食べたカレーがよかったとか、帽子やはちまきをしたらよかったとか、手首をほぐしたら楽になったとか・・・。結局、本当の事は誰も知らないので、自分しか自分の耳を良くしてくれる人はいないと思えばいい。そんな心掛けで闘った人が晩年は、「治ってはいないが、取りあえず生活に支障はないし、これくらいならまあいいや」と言っている。この諦めず、闘ったことが、耳鳴りにかろうじて勝った事になると思う。

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