常連さんがインフルにかかり、40度の熱が出たという。医者で吸入してすぐに熱は下がったが、喉が痛いという。こういう場合、我々はよく腕を治療する。孔最(こうさい)・尺沢(しゃくたく)は咳止めで、合谷(ごうこく)は鼻炎、鞭打ちの後遺症は首を緩めるために使う。全てツボが、肘より下にある。喉の痛みだけなら駆風解毒湯が効くが、発熱や咳、鼻炎で首も硬いとなると色々なツボの刺激がいい。我々は慣れているので、呼吸器の患者が来た時はすぐに腕を診てしまうが、これは説明しないと何故腕を揉んでいるのかわからないだろう。それと同時に大事なことは、神経の興奮を落としておくことである。例えば普段から坐骨神経痛がある患者は神経が興奮している分、咳などの治りが悪い。だから咳と同時に坐骨神経痛も必要なのである。これも説明しないと咳なのにお尻を揉まれたら戸惑うであろう。今日来た患者はいつもみたいに坐骨神経痛がなかったので、咳や喉は早く治ると思う。呼吸器の疾患のことをair wayがやられていると言って、鼻、口、喉、気管、咽頭などの空気の通り道は腕にツボが集中している。だから腕のストレッチだけでも喉や咳は楽になるのである。この時期、患者の腕ばかり揉んでいる。そこがわかると治療成績はいい。西洋医学とは全く違う切り口で、身体を治せる。この辺も漢方の面白いところである。