患者が来なくなる商品

長年仕事をしていると、ある商品を紹介してから患者が来なくなったものがある。それは「マウスピース」と「パナソニックのスチーム足浴器」である。
まず「マウスピース」だがこれは大分前の勉強会で、「顎関節(噛み合わせ)に負担がかかるとその悪影響が首までいく」と教えて戴き、当院に首で通っている患者にマウスピースを勧めたら、その後殆ど首が辛いと言わなくなってしまい、そんなに効くのかと思った。そんなある日、いつもの歯医者に行ったら、「あなたは噛み合わせが強い。マウスピースを作りなさい。」と言われ、自分は人にマウスピースを勧める立場だと思っていたら、私自身も悪い事を指摘され、作ってもらった。装着した翌朝、「何か首が楽」と実感し、「これは何かの間違い」と思い翌日は外して寝たら、朝何となく首が重い。また装着して寝たら首が楽。こういう性格だからこれを5回実験して、「首のゆがみの原因は顎関節が影響していてマウスピースで治癒可能」と確信した。それ以来自信を持って薦めている。実はマウスピースにも色々と硬さがあって、実験したら私の身体には、一番堅いハードタイプが良かった。しかしこれは本人の装着感を優先していいと思う。マウスピースは半年に1度保険で新しいものを作って戴けるのだが、初めのうちは噛み合わせの強いところに穴があいてしまい、「ここでばかり嚙んでいるのだなぁ」と理解出来た。3つ目4つ目と作って戴くうちに、段々マウスピースに穴が開かなくなり、すり減り方も均等になってきたのを見て、「これは我々には出来ない。歯医者に治療していただかなければ・・・」と思った。
次に「パナソニックのスチーム足浴器」だが、大分前に寒波でとても寒い年があった。昼や夕方になると近所のOLさんが「冷え性で・・・、足が辛いんです」と言ってくる。仕事柄、足湯を勧めるのだが、お風呂でやろうとすると上半身が冷えてしまい、バケツにやかんでは「面倒くさい」「温度が下がってしまう」「後片付けが大変」と言って中々実行しない。そんなある日、パナソニックのスチーム足浴器の話を聞いた。「スチームで温めるので後処理が楽」との触れ込みで、これはいいと思い患者に勧めてみたところ、15人の患者の半分が買い、買った患者が見事に来なくなった。別件で来た患者に、「あなたのあの冷え性はどうなったの?」と聞いたら、「あれ、とても良いですよ。もう辛くないし・・・」「あ、そう、良かったね・・・」という流れになってしまった。本当に患者が来なくなったので、試しに買って実験したら、なんとも手軽で温まり方がいい。コップ1杯程度の水で遠赤外線も効いている。私などは冷え性じゃないから、5段階あるうちの3の強さでいいだろうと思いやってみたら、スチームが当たっているところの足が真っ赤になり、「まさかパナソニックが患者に火傷をさせることはしないだろう。」と思い、そのまま寝床に入ったら、冬なのに足が熱くて眠れない。これじゃ患者が来なくなるのは当然だと思った。しかしこの足浴器、唯一の欠点はかなり大きいので夏場は邪魔である。
別の治療器なら、「先生に教えてもらったあの機械、やるといいですよ。違います。」程度で患者は通ってくるが、マウスピースとパナソニックのスチーム足浴器は別格である。
長年やっているとこういう出会いも時にはある。

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