やがては「がん伝道師」

がん患者を診ていると、自分ががんサバイバー(がんを乗り越えた人)になり、自分の体験談を人に語っている人を良く見る。「私は○○がんで、○○病院で手術の後、抗がん剤はきつかったけれども、たまたま見た○○先生の記事に共感して、その先生が愛用しているものを飲んだらとても元気になった。あなたにも強くお薦めする。」医者の中にもがんを患い、色々と商品を勧めている先生も多い。そういう先生のお薦めのものは魅力的に映る。当院にも患者の話を聞いただけで、「この患者はがん伝道師になるなぁ」と感じる人が来る。「私の体験が役に立つなら・・・」という純粋な気持ちだろうが、実はこれには落とし穴がある。ビタミン剤でも水素でも万人に効くものはないという事である。いくら医者が勧めたとは言っても、その先生のその時のそのがんに有効だっただけであって、その記事を読んでいる患者に効くかはわからない。だから我々はBi-Digital O-Ring Testを使って、その時の患者の適量を出している。がん患者には乳酸菌をよく使うが、同じものを使い続ければ効かなくなるし、がんの成長のレベルによって量を増やしたり、減らしたりしなければならない。場合によっては追加したり中止したりも出てくる。それは血液データではわからない。そのことに30年位前に気がついて、Bi-Digital O-Ring Testを学んでいる。同じものでも時期によって、効いたり効かなかったりするから、がん治療は繊細である。そこまで理解したうえでの、がん伝道師はいいのだが、自分の体験が全てと言うような感じで勧めることはちょっと困る。「人を見て法を解け」ではないが、「病態を見て適量を決めろ」と言いたい。

image_print印刷する