ボブヘアがいいんだけど・・・

最近どういうわけか、人間関係の話が多い。会社の中で上司とだったり、夫婦だったり、子供との会話など話題は尽きない。常連さんから、「先生、人間関係で何か患者を診ていて、感じることはありますか?」と聞かれたので、少し話をしてみたい。
まず第1は夫婦の場合、ご主人が奥様の髪型に関して、「ボブが僕は好きだなぁ」と言ったときに、奥様が、「え、ボブ、私はロングが似合うの。ショートなんか嫌い。あなたに髪型を言われたくない。」と返事したら、ご主人はその後、奥様の髪型に関して何も言わなくなってしまうだろう。しかしその時奥様が、「ボブ?やったことないけど、あなたがそういうなら1度ぐらいはやってみようかなぁ。」と言ったら、ご主人は喜び、嬉しくなって翌日ケーキか花を買ってくるのではないだろうか。実際にショートのボブにしたかではなく、「僕の意見を受け入れてくれた」事に喜ぶのではないだろうか。では逆に奥様が、「今度の休みにはフレンチが食べたい。」と言ってご主人が、「冗談じゃない。どけだけ俺が忙しいかわかっているだろう。子供か友達と行ってくれ。」と言われれば、今後そういうお願いをしなくなるのではないだろうか。しかしご主人が、「フレンチが、来週は難しいけど次の休みなら行けそう。予約しておくね。」と言えば、奥様は楽しみにしていいコミニュケーションが取れるのではないだろうか。結局相手が何か言って、ピシャッと叩くのではなく、まず「そうね」と受け入れて、そのあと、「○○があるからすぐには難しいから、じゃ今度」となれば丸く収まる。当院の常連さんの中にも、子供が育ったあと、「あの旦那とは別居」と言っている方は多いが、話を聞くとどうもお互い、ピシャッとやってやり返しているようである。これでは人間関係が崩れてしまう。例えば私の仕事の場合、難病の人が来て、「え、うちが5件目、よそで断られた。そんなのうちで治るわけないでしょう。うちではなくてもっとよそを探して。」と言えば、患者は「2度とこんな所に来るか」となるだろうが、「今まで何件も回ってうちでどこまでできるかわかりませんが、全力を尽くします。いい結果が出なければ必ずもっといいところを紹介します。」と言えば、「ではお願いします」となるだろう。いかなる場合でもまず、「はい」と受け入れ、そこから問題が出れば、「やってみたらこうなった、どうしよう」なら、人は理解してくれる。しかしやる前から、「そんなの無理」と言ってしまえばそれで終わり。そんな話を常連さんにしたら、「成程!!」と言っていた。

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