和を以て貴しとなす

「これは聖徳太子が制定した十七条憲法の第一条に記されている言葉で、「人々が互いに仲良く助け合い、争いを避けることが最も大切である」という意味です。これは、単に仲良しこよしということではなく、議論や話し合いを通じて、互いを尊重し、協調していくことの重要性を説いています。」と調べたら書いてありました。
先日来た常連さんはいつも食べ過ぎが原因の腰痛で、毎回私に「スタマックライン」と言われて、反省はするのですが、また食べて腰が痛くなるわけです。そして前回おみえになった時に、「今度家族で旅行です。食べ過ぎが怖くて・・・」と言っていました。そして、先日旅行後、身体を診たら全くスタマックラインがないんです。多少の車の運転疲れはあるもののいつものスタマックラインの反応がないのです。「旅行中、そんなに食べなかったのですか?」と聞いたら、「いえいえ、毎回これでもかと出されるので、食べてしまいました。また腰が痛くなるだろうと思いながら・・・」しかしスタマックラインに反応がないんです。これには少し考えてしまいました。いつもより食べてスタマックラインに反応が出ないのはなぜか?
少し考えたあと、「これは自律神経が関わっているかもしれない。」と思い至りました。いつもは仕事で過緊張の中で食べている。当然胃腸は働かないので、少し食べただけでも胃は拒否をするのです。当然、スタマックラインが出て腰が痛くなる。しかし今回は楽しい家族旅行で、副交感神経優位なわけです。胃腸が十分機能できる環境があるわけです。数字で示せばいつも仕事中の胃の能力が5とすると7か8食べれば、食べ過ぎで腰が痛くなる。しかし副交感神経優位だと胃の能力が10ある。いつもは7か8で食べすぎが9食べても未だ余力がある。本人はいつもより旅行なので食べてしまったから大変なことになっていると思っていたみたいですが、実際は違った。こんな風に考えると全て辻褄が合う。そんな解説を患者さんにしながら、「和を以て貴しとなす」が頭に浮かびました。「互いを尊重し、協調」が大事なわけです。胃の器がないときにはそれなりにすれば問題が起こらない。器があれば食べてもいいんです。「和を以て貴しとなす」は1400年以上前の教えが、鮮やかに蘇った瞬間でした。

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