原因がありそうな所に原因がない

以前ブログで、「人が見向きもしない所に新しい治療の答えがある」という話を書いた。
以前解剖を学んだときに「脂肪」や「膜」は邪魔で早く取って、臓器や筋肉、血管神経を診たいと思っていたが、最近はその「脂肪」や「膜」に痛みの原因がかなりあることが分かってきて少し戸惑っている。
ではあまり人が注目しない部分はもっとあるかもしれないと思い、先日講義を聞いていたら、私が脊柱管狭窄症を患ったときにお世話になった先生が、「関節の痛みが中々良くならない患者の関節包に目を向けたら一気に良くなった」との講義を伺い、当院の患者で実践してみたら実に成績がいい。
関節包とは-関節を包んでいる膜のことで、膜で包まれているから関節が安定したり、滑液が分泌され滑らかに動くことができる
この経験を通して、我々が目で見えているところにばかり原因を求めても本当の答えには中々たどり着けない。おそらく本当の原因はもっと目に見えないところにまだ沢山あるのではないかと思った。
そういう目で患者の症状を見直すと、まだまだ手をつけていないところが山のようにあることに気がついた。
最近はよくセミナーで解剖学の講義を聞いているが、解剖はもうやり尽くしたと思っていたのに、新しい発見が次から次へと出てくる。それも、「え、そんな事が今までわからなかったの?」という内容ばかりである。
ここまで来ると、自分のやり方や見方を一度ガラガラポンして、ゼロベースでものを見ないと、次のステージに上がれないと思う。
今までの流れで仕事が出来ればこんなに楽なことはないが、こういう場面では神様から、「そんな見方でお前に本当に原因がわかるものか。もっと広く深い目を持ち、常識を疑ってかかってみろ。その奥に答えは隠しておいた。」と言われているようにいつも感じている。

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