更年期障害の治療で感じること

常連さんが50才近くになり、更年期障害のことで相談があった。「ほてり、のぼせ、発汗、動悸、冷え、イライラ、怒りっぽい、不安、気分が落ち込む、不眠、集中力の低下、記憶力の低下、頭痛、眩暈・・・」などは定番だが、原因は40歳代後半から卵巣の機能が低下するからである。女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の量が減少してしまう。エストロゲンの分泌量は、脳の視床下部というところでコントロールされていて、そこで体温調節、呼吸、心拍、血圧、消化、睡眠などの機能も担っている。つまり自律神経の調整場所である。エストロゲンが減ってしまうと、視床下部がその変化に対応しきれなくなり、「ホルモンを分泌しろ!」と司令を出し続け、混乱が起きてしまい、自律神経の調整が出来なくなり、色々な症状が出てしまう。
そんな患者の話をよく聞いていると、「主人が悪い」「子供が言うことを聞かない」など、本来の更年期障害以外のことも訴えてくる。こちらとしては、更年期障害が原因の症状とそれ以外のものはわけたいのだが、患者の話はゴチャゴチャである。50代の女性と言えば、子供にはまだ手がかかるし、ご主人は話を聞く暇もないし、親の介護も始まる頃である。そんな時に自分の体調が悪ければ当然愚痴の一つも言いたくなってしまう。しかしこれはあと10年経って、60才を迎える頃には様子が一変する。ご主人は定年して忙しくはないし、子供は育ちきって別暮らし、親は時には送っている。私から見ると50才の時は辛いかもしれないが、やがて元気になるのだからと言いたくなってしまう。更年期障害の治療としてホルモン補助療法で劇的に効く人はいるが、乳がんリスクもあるので専門家に相談していただきたい。何とか漢方薬ぐらいでしのいで欲しいと思ってしまう。昔からザクロや外国ではvitexなどは有名で、まめに飲むと効果はある。イソフラボンなども体質によって効果がまちまちなので、専門家のアドバイスを受けて欲しい。色々考えると上手にしのいで、時を待てといつもアドバイスをしている。

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