お陰様で長い間仕事をしていると紹介で来る患者は多い。そんな時、少し困ることがある。それはある会社の社長から部長を紹介される場合で部長が早く治ってしまうパターンである。社長から「え、あいつ腰、相当痛そうだったのにもう治ったの?俺なんか未だ通っているのに・・・」と言われてしまうと何となく気まずい。
これが逆で、「部長はかなり痛がっているから、時間がかかるは仕方がない。ちゃんと最後まで診てやってくれる。通わせるから。」なら何の問題もない。
社長にしてみると何となく後から治療を始めた人間が、すぐに治ってしまうのは腑に落ちない感じであろう。
言葉には出さないが、「あの部長が俺より少し若いだけなのに、なんであんなに早く治ったのだろう。」と言いたくなってしまう気持ちは分からないでもない。
勿論、病気に上下はないのだが、患者は何となく病気を上下関係で見てしまう真理がある。
社長が若くてIT関係の会社は余りそういう傾向は見られないが、昔ながらの昭和世代の会社はその傾向が強いように思う。
これは日本の文化かもしれないが、飲食店でも社長より高いものを食べてしまうと何となく気まずい。
だからメニューでも「松竹梅」があると殆ど、真ん中の「竹」ばかり注文が入るそうである。
治療の場合、選択肢はあっても「松竹梅」はないが、こんな昭和の匂いのする社長には、「部長は他の治療院の方がいいですよ」と言っている。