思い込んで治療のチャンスを逃す

最近、股関節に関して手術成績が良いので、いくつかブログを書いている。病院勤務時代には確か15年程度しか持たなかった人工股関節も最近では40年、場合によっては100年もつといわれている。日進月歩でどんどん変わる。以前、両股関節手術は出来る病院が殆どなかったが、知り合いの専門医に聞いたら、「今は4人に1人が両股関節手術」と言っていた。一昔前とは隔世の感がある。
こういう情報を知らずに、患者から、「股関節の手術は出来る限り先延ばしにしたい」と言われたらどうなってしまうだろう。おそらく手術後には、「そんな状況ならもっと早くやれば良かった」と必ず言うだろう。
投薬に関しても同じ事が言える。不眠症や鬱病、リウマチに抗がん剤も一昔前とは全く内容が異なる。以前は不眠症と言えば、ただ寝てしまう薬で癖になると言われていたが、不眠症にも種類があり、寝つけないのか、途中で目が覚めてしまうのか、早く起きてしまうのか、熟睡できないのかにより、投薬が全く違う。薬の種類によっては昔みたいに睡眠薬で自殺など出来ない。鬱病に関しても初期に使えば有効なものは沢山あるし、抗がん剤も実によく効くものが出てきている。薬を嫌う人は一定数いるが、全て拒否して治るべき病気が治らないのはどうかと思ってしまう。その時代毎に医療は劇的に進化している。中々治らない症状がある場合は、是非専門医のアドバイスを受けて頂きたい。「え、今はそんな事になっているの?」と我々でも驚くことがあるので、一般の方は尚更だと思う。聖書の「求めよ、さらば与えられん」ではないが、今まで私自身も、こんな事を考え、やっている研究者は絶対いると調べたら、本当にいた経験ばかりである。

image_print印刷する