膝痛と生理痛

常連さんがいつもの膝痛を訴えてきた。また少し無理をしたのだろうと思って大腿四頭筋(太腿)を治療したが全然ほぐれない。大腿四頭筋は自覚は出ないし、この筋肉が固くなると膝や腰痛が出る事は以前から書いてる。これはおかしいと思って、反対側の大腿四頭筋を触ったら同じように堅い。長年仕事をしていると筋肉君と会話できるようになり、筋肉君にほぐれる気持ちがないことがすぐにわかった。これはハムストリング(太腿の裏)が堅いのだろうと思って触ったら今まで見たことがないぐらいに堅い。ここは下腹部の反応点なので、お腹の調子が便秘か何かでおかしいのだろうと思って聞いたら、「いつもより生理痛がひどい」と言う。何か明確に冷えなどの原因があればそれは仕方がないが、何かあったのかと聞いたら、「何もない」と言う。こうなるともうメンタル面しかない。少し難しい話になるが、脳の中に視床下部というところがあり、そこがホルモンを出すと下垂体を刺激する。下垂体からは卵巣を刺激するホルモンが出て、生理を成り立たせている。しかしストレスなどで頭の働きがいつもと違ってしまうと、この伝達系がうまくいかない。鬱病などでもちょうどおでこのところに異常がでるし、その奥には下垂体がある。メンタルがやられると婦人科のホルモンの働きが狂ってしまうわけである。よく仕事柄聞くのは、「イライラしたら突然生理が来た」「激怒した後、ピタッと生理が止まってしまった」といずれにしても、メンタルは簡単に卵巣に悪影響がでる。そんな話をしたら、「実はかなりイライラしていて、何時も生理は楽な方なのに、今回はいつもと全く違うお腹に違和感がある。」と言う。ハムストリングがこれを拾っているわけである。こうなると膝や腰の痛みは大腿四頭筋やハムストリングをいじっても治まらない。急遽、顔面と頭皮のマッサージに切り替えた途端、少し神経の興奮が収まったせいなのか、ハムストリングのこりがよくなってしまった。こういう症例は頭ではわかっていても、なかなか体験は出来ない。膝痛の真の原因にこういうことがあることを知っていてほしい。

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