ぎっくり腰の苦い思い出

これはもう20年以上前の話だが、この南品川に拠点を移した時、この店舗がクリーニング屋さんだったので、内装工事の後、何も考えずにベッド3台を入れた。それから少し経ってから酷いぎっくり腰を患い動けないので、スタッフに来てもらい鍼を打ってもらった。「先生、片脚だけ異常に硬いですよ。これが原因ですよ。普段お世話になっているので、太い鍼を一杯打っておきます・・・」「え、そんなに太くなくてもいいよ。本数も程々で・・・」と言いながら治してもらった。この時は何故ぎっくり腰をやったのか分からなかったが、色々と考えていくうちに原因を掴んだ。それは本来うちの技術は座って治療する技術で、立って治療することを想定していない。いわゆる「畳の上の技術」である。それがベッドで立って荷重を片脚にかけ続けたものだから、ぎっくり腰になってしまった。そこに気がついてから、畳ボックスを入れて3台全て畳にしてしまった。それからというものぎっくり腰を殆ど起こしていない。未だに何故ベッドにしたのか覚えてはいないが、以前のクリーニング屋さんのコンクリートのたたきを見て、畳という発想がなくなってしまったのであろうと想像する。これがもし和室だったら、布団やマットレスという発想になっていたに違いない。これはぎっくり腰のとても苦い思い出だが、立ってやる仕事と、座ってやる仕事では腰に対して全く負担が違う。よくぎっくり腰患者に、「ウロウロしていなさい、腰が楽だから・・・」と指導しているが、立ちっぱなしで手の作業はかなり腰に負担をかけると思って間違いはない。こんな所にも腰痛治療のコツがある。

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