患者さんの中に治らない肘痛の方がいる。何をやっているのか聞いたら全員釣り好きである。我々が治療しても効果がないので医者でステロイドを打ってもらい、少し楽になったら我々がリハビリをしようと思ってたら、「注射で少し楽になったので、すぐに釣りに行ったらまた痛みが出てきた。」と言う。本来ならある程度の安静がどうしても必要で、そこからリハビリなのだが、釣り好きの方には伝わらない。釣りも釣り竿を土に立てておいて鈴が鳴ったら、引くのかと思ったら、ルアーを引き続け魚を誘うという。4-5時間続けるのかと思ったら、10時間ぐらいやることもあるという。昼の休憩など取らず、サンドイッチやおにぎりを口にほうばり手は使い続けるという。ルアーをしゃくり上げる動きを診たら、ある一定の角度に肘を曲げ何度も何度も持ち上げる動きを繰り返す。肘の関節は単純に曲げ伸ばしには強いが、角度をつけて捻られると極端に弱い。捻る専用の筋肉がないからである。あるにはあるが細かったり、短かったりする。だから肘を痛めるとジャムの蓋が開けられない。次にドアノブが開けられない。そして最後は雑巾が絞れない。すべて捻る動きである。釣り好きの肘痛には手を焼いている。
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